あの空に手を伸ばして
*
お母さんとは会話することなくわたしは次の日学校へと向かった。
「美咲っち!!大丈夫だった?」
どうやら噂はすごく広まっているらしい。
「赤池くんも黄田くんも青島くんも停学になったったしさ。鬼頭くんは肩刺されて入院したっていうし」
そのときふと廊下で話していた女子2人の会話がよみがえった。
――「ねえ、きいた?鬼頭くんの噂」
――「なんか今日学校にきてないらしいんだけど、その理由が喧嘩ふっかけられて逃げてるかららしいよ」
鬼頭ってサクの苗字だったんだ。
わたしはそんなことも知らなかった。
あれだけ一緒にいたのに、サクのこと本当になにも知らない。
わたしは無性にサクに会いたくなって教室を飛び出した。