あの空に手を伸ばして
「おい、やめとけ。いくぞ」
あ、はじめてしゃべった。
目をつぶって寝そべっていてもわかった。
後ろにいた黒髪男子の声だ。
「はーい」
信号機くんたちはその声に素直に従い、またわたしだけの空間になった。
信号機くんたちがいっていた『優等生』という言葉。
それはたしかに当たっているのかもしれない。
まだ空に手が届くと信じていたころ、わたしには夢がたくさんあった。
そのために勉強に必死になって、運動も頑張った。
でも、勉強が好きだからといって暗い子だったわけじゃなくて、自分でいうのもあれだけど明るくてまわりに友達が多いほうだったと思う。