あの空に手を伸ばして
「まあ、お前も運がなかったってことだ。最期にせっかくだからしゃべらせてやる」
そういうと男はあずさの口からガムテープをはぎとった。
「サク。ごめんね。サクは生きて」
どうして、なんであずさが謝るのかわからなかった。
「なにいってんだよ。俺が助けるに決まってんだろ」
「サク、ありがとう」
そういってあずさが微笑んだ瞬間、男はあずさの胸に包丁を突き刺した。
「あずさ!!!!」
俺を拘束していた男たちはあっという間にいなくなり、解放された俺は急いであずさに駆け寄った。
「おい、あずさ。死ぬな」
「ねえ、サク。あんまり、喧嘩、しちゃだめ、だよ?わたし、手当してあげられない、から」
「そんなこと今はどうだっていいだろ。それよりもうしゃべるな」
だんだん呼吸が浅くなってきているあずさをそっと抱きしめる。
「サク、だいすき」
でもそんな俺なんてかまいもせずにあずさはそういうと静かに目を閉じた。