あの空に手を伸ばして
喧嘩
*
「俺がやった過ちは消えることがない。でも前に進まないと。立ち止まってても、あずさはもうかえってこない」
サクのその言葉にたかしくんは顔をあげるとそのままサクの顔を殴った。
あまりにも突然の出来事にびっくりしたけれど、サクは嬉しそうに笑っていた。
「はは、いてえな。鉄パイプで殴られるよりよっぽどいてえ」
そういってサクもたかしくんの顔を一発殴った。
それを引き金に、2人は取っ組み合いの喧嘩をはじめた。
「お前のせいだ!お前があんなやつらに手をださなければ」
「お前だって、あんなやつらと同じ手つかって美咲を傷つけようとしただろうが」
「俺にはああするしかなかったんだよ!」
「それでも、殺してたらお前は姉貴を殺したやつらと同じだったんだよ!死んでいい人間なんて、誰もいないんだよ」