あの空に手を伸ばして
本当の理由



「ただいま」

家に帰るとお母さんはリビングのソファで寝ていた。

毛布をかけようとそばに近寄ったとき、お母さんの目から涙が流れ落ちた。

「お父さん・・」

寝言でそういったお母さんはとても悲しそうで。

胸がきゅっとしめつけらける。

わたしが毛布をかけてあげると、ゆっくりとその目が開かれた。


「・・美咲?」

「うん、ただいま」

「おかえりなさい。寝ちゃってたわ」

「お母さん。ごめんなさい、わたしひどいこといっちゃった」

「・・・わたしのほうこそ、痛かったでしょ?」

そういってお母さんはわたしの右頬に手を当てた。
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