あの空に手を伸ばして
本当の理由
*
「ただいま」
家に帰るとお母さんはリビングのソファで寝ていた。
毛布をかけようとそばに近寄ったとき、お母さんの目から涙が流れ落ちた。
「お父さん・・」
寝言でそういったお母さんはとても悲しそうで。
胸がきゅっとしめつけらける。
わたしが毛布をかけてあげると、ゆっくりとその目が開かれた。
「・・美咲?」
「うん、ただいま」
「おかえりなさい。寝ちゃってたわ」
「お母さん。ごめんなさい、わたしひどいこといっちゃった」
「・・・わたしのほうこそ、痛かったでしょ?」
そういってお母さんはわたしの右頬に手を当てた。