あの空に手を伸ばして


「そう。美咲ね、小さいころから全然泣かない子だったの。夜泣きもしないし、転んでも大丈夫って立ち上がって笑ってて。でも、お父さんが亡くなったときすごく大泣きしたのよ」

「え?」

「覚えてない?」

そう聞かれて思い出してみるけれど、泣いた記憶なんてなかった。

「毎日毎日仏壇の前にいって泣いてね。お父さんどこいったの?どうしておうちにいないの?って」

「わたし、そんなこといってたんだね・・」

「ええ。でもある日を境にぱたりと泣かなくなったのよ」

「・・・どうして?」
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