からふる。~第12話~
「凪砂...お誕生日おめでとう」


「翡翠...」



青波先輩の部屋から登場した岡本さんが青波先輩の前に歩み出る。



「なんでここに...」


「私はね、ずっと凪砂を探してた。今でも凪砂が好き。大好きだよ。どんな凪砂でも、凪砂は今私の目の前にいるこの凪砂で私の1番大切な人。だからもうどこにも行かないで。目移りしてもいいから、私の側にいて。ううん...私が凪砂を離さないから」



ふぁっ...!


な、なんということ...。


さっきまで自信無さそうに泣いていた岡本さんが...まさか...キス...するとは...。


背伸びしてキス。


なんと美しい2ショット。


私だけでなく皆が唖然。


緑川先輩はなぜか顔を覆い、しゃがみこむ。



「翡翠...」


「私達まだ付き合ってるってことでいいんだよね?私、別れてなんて言われてないから」



岡本さんが強気でいくのはもう離れたくないから。


絶対に青波先輩を失いたくないから。


最初で最後の恋の相手だからなんだ。


どうか、お願い。


岡本さんの想いよ、伝われ。



「翡翠」


「何?」


「やっぱり...やっぱり俺は翡翠がいい」



そう言って青波先輩は強く岡本さんを抱き締めた。


泣き出す岡本さん。


私まで泣きそう。



「今まで本当に悪かった。もう離れない。絶対に離さないから」



私達はゆっくりとその場を離れた。



「ごゆっくり~」


「食堂で待ってるよぉ」



赤井先輩に茶化され、凜くんにニヤニヤされながらも抱擁し合う2人。


幼なじみ2人の恋。


あぁ、なんかキュンとする。


すれ違いながらも確かにお互いを想い合っていたなんて...。



「良かったね、無事結ばれて」


「うん、そうだね」



本当にお似合いの2人だよ。



「紫雄の良かったは、ライバルが減ったことへの良かっただろ?凪砂先輩もさあやのこと狙ってたからなぁ」


「オレはそんなこと思ってない」


「さあて、どうだか。よしっ、さあや行くぞ!」



えっ、


えっ、


えーっ?!


ま、ま、まさかの階段からジャンプ?!


い、い、いやーー!



「黒ちゃん?!」


「紗彩ちゃん?!」


「と、朱鷺田さあん?!」



な、なんで、


なんでこーなるのー!!



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