からふる。~第12話~
「全く、バカタレが!」



沼口さんの罵声とヘッドロックが炸裂する。



「いっ、た...」


「黒羽くんごめん。私、黒羽くんの上に乗っちゃって重かったでしょ?」



さっき飛んだ時、私は着地に失敗し、彼の上に覆い被さってしまったのだ。


意味不明な誘いをし、強引に実行した黒羽くんが100パー悪いと思うのだが、仕方がないから謝った。



「そうだな。意外と重かった」



この男...!


毎度毎度反省が足りん!



「うっわ、さいてーっ!もう卵焼き作んないから!」


「いやいやそれは勘弁してくれ。おれが食えるのはそれしかないんだからさ」



そういう黒羽くんを睨みながら沼口さんが一言。



「じゃあ死ぬしかないねえ」


「沼口さんまで見放さないで下さいよぉ」


「いいからさっさと行き。もう始まってんだからさ」


「そうだよ。早く行こう」


「行っても食うもんねえし」


「それでも行くの。わがまま言わない」


「ときちゃんお母さんみたいだわ。はっはっは!」


「ったく、しゃあねえなぁ」



ようやく重い腰をあげ、ドアに向かう黒羽くん。


誕生日パーティーはもう始まっている。


ちょっと出遅れちゃったけどちゃんとお祝いしよう。


青波先輩のお誕生日と


2人の再スタートを...。



「翡翠ちゃんお手製のローストポーク食べなきゃねえ!楽しみ楽しみ~」



一昔前の流行曲を鼻歌しながら階段を降りていく沼口さん。



「ばばあは食い気かよ」


「ばばあって言わないで」


「うるせえ。そんなこと言ってるとまた飛ぶぞ。今度は3階からだ。失敗したら...」


「いいから行くよ」



はぁ。


一難去ってまた一難。


この男をなんとかせねば。


と思いながらですが、改めて...


青波凪砂先輩、お誕生日おめでとうございます。


岡本翡翠さんと末長くお幸せに。



続く...




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