恋慕花〜新撰組綺譚〜
_________



ガヤガヤ ガヤガヤ




必死で逃げてたら、辺り一面が白くなって、全く知らない土地に来ていた。
あのストーカーらしき人はどこにもいないようだった。

ほっ。





しかし。


「ここ、どこ……?」



なにこれ、映画村みたい……。
ビルも舗装された道路も何も無い。
街ゆく人は皆時代劇のような着物を着ている。
そして私を訝しげな目で見つめる。

…私からしたらあなた達の方が怪しいけどね。




答えてくれるかは分からないけれど、何もしないのもあれだし、とりあえず近くの人に何か聞いてみようかな…。



お、あの人当たり良さそうなイケメン兄ちゃんに聞いてみよう!



「すみません、ここはどこですか?あと今って何年ですか?」



「ん?おかしな質問するねえ。ここは京だよ。そして今は文久3年だけど…?」




文久3年????



は????



「冗談ですか?」



「いや本当だって」



「………………え?」



「今は文久3年だよ。」



「意味が分からないんですが??」



「こっちの言葉かなそれ」



「あ…ありがとう…ございます………」



「いえいえ……?」


< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop