恋を伝えるための数式
「良いよ。愛花ちゃん、先帰ってて。二人で勉強したいんだ」

私が言うと、愛花ちゃんは「分かった。私がいると、お邪魔だもんね~」と言って、颯爽と帰っていく。

……愛花ちゃん、絶対変な想像したでしょ。私と和也は、付き合ってませーん!ザンネーン!

「和也、お待たせ」

和也と向き合うように座り、私と和也は数学の教科書を広げた。

「……じゃあ、始めよっか。展開はね、こうするの」

私は、和也に1つずつ丁寧に教えていく。

というかさ……何で問題の数字が大きいわけ?これって、嫌がらせだよね?そうだよね?

「で、そうやって計算すると……ここは36×15になるでしょ?十の位と一の位を分けて計算してみようか」

私は、いらないプリントの裏を和也に渡した。

「えっと……3×1=3、6×5=……30?」

「正解。じゃあ、次。十の位を足すよ。3+3=?」

和也は「9?」と首を傾げる。

「掛け算とごっちゃになってない?これ、足し算だよ?3+3!」

「あ、あぁ!ろ、6!」

「正解。6の後ろに0付けて、答えは?」

「60……!」

「正解!」

和也は発達障がいのひとつであるLD(学習障がい)を持ってて、計算がすっごい苦手なんだ。

「……はい。次!次行くよ~!」

「え、えぇ……」
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