恋を伝えるための数式
「疲れた……」
通学路を歩きながら、和也は伸びをする。
あれから何問かやって、やっと帰り。
「お疲れ様」
私が和也を見て微笑むと、和也は恥ずかしそうに私から目を逸らした。
「あ、瞳。これ、見て!」
にこりと笑って、和也はスマホの画面を私に見せる。そこには、和服を着た可愛らしい男の子のイラストがあった。
私と和也は、絵を描くことと言う共通の趣味があって、それがきっかけで仲良くなった。同じ美術部に入って、一緒に絵を描くうちに、イラスト以外の話もするようになったんだ。
そんなある日、和也からLDを持ってることを聞いて、一緒に数学を勉強するようになったんだっけ。
「特に名前はないけど、オリキャラ作ってみた!」
いつも以上に明るい声で話す和也を見て、思わず笑いが漏れる。
「ちょっと、何笑ってるの……?」
「イラストのことになると、和也は明るくなるなって……」
私が微笑むと、和也は「え?あ、その……」と恥ずかしそうに笑った。
「だって……!絵を描くのが、一番好きだから……」
「分かるよ。一番楽しいことの話をする時って、思わずテンション上がるよね」
私は和也の言葉に、そう言いながらうんうんと頷いた。