女王様の言うとおり
自分の席に座りたくても座れなくなってしまったあたしは、仕方なく柊真の机へと向かった。


「遊星まで一緒かよ」


柊真がチッと舌打ちをして呟いた。


よく確認してみると大西さんに群がっている生徒の中には遊星もいた。


遊星は頬を上気させてとても嬉しそうに話かけている。


その様子を見ていられなくてあたしはすぐに顔を背けていた。


こんなの、ヒナが見たらどう感じるだろう?


そう思って胸がチクリと痛んだ時、教室前方のドアから当のヒナが入って来てしまった。


ヒナはすぐにあたしに気が付いて笑顔を見せる。


あたしはぎこちない笑顔を浮かべることしかできなかった。


「2人ともなんの話をしてたの?」


そう聞きながら近づいてくるヒナに、柊真が視線を大西さんの机へと移動させた。


ヒナはそれに誘導されるように視線を巡らせて……一瞬にして表情を無くしていた。


「なんで……」


小さな言葉で呟き、固まってしまっている。


「今日来たらあんな状態だったの。絶対におかしいよね」


「なんで、遊星まで一緒にいるの」


ヒナの声は微かに震えていた。
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