女王様の言うとおり
「絶対に誰からもキスをされなければいいんじゃない?」


そう言ったのはヒナだった。


ヒナは青ざめた顔をしているが、ヒナなりに考えていたのだろう。


あたしは自然と柊真に視線を向けてしまっていた。


整った顔は眉間にシワがより、険しい表情になっている。


少し厚めの唇は何も塗っていないのに艶やかでふっくらとしている。


それを見ているだけであたしの胸はドキドキした。


もしも柊真にキスを迫られたら、あたしは逃げる事なんてできないだろう。


「ねぇ、聞いてる?」


ヒナの声でハッと我に返って視線を戻した。


生徒達は相変わらず大西さんの周辺に群がっていて、どける気配は見られない。


「そうだね……」


あたしはヒナの言葉に頷く事しかできなかったのだった。
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