女王様の言うとおり
泣き声は止まり、シンと静まり返る。


誰もがなにも言わなくなったとき、ガタガタと繰り返し小さな音が聞こえて来た。


それは奏を入れている棺桶が響いてくる。


棺桶を担ぐ男性陣の顔からスッと血の気が退いていくのが見えた。


そして次の瞬間……ガタンッ! と、ひときわ大きな音がしたかと思うと、棺桶の蓋が外れて落下していたのだ。


「ギャアアア!」


悲鳴と同時に棺桶を放り投げ、その場から逃げ出す親族たち。


落下した棺桶は横倒しに倒れて奏の体が零れでてきた。


でも……棺桶から出て来たのはそれだけじゃなかった。


棺桶の中から蓋をこじ開けたもの……それは、大量の蟻だったのだ。


奏の体を覆いつくす無数の蟻たちが、ウジャウジャと這い出して来る。


それは何万、何億とも言える数で、近くにいた親族たちは悲鳴を上げて逃げていく。


あたしは思わず自分の口に手を当てていた。


蟻は奏の腹部から大量に這い出して来ているのだ。


腹部は赤く染まり、蟻に食いちぎられたのかアチコチに肉片が飛び散っている。


「なんて素敵なの!!」


その光景に叫んだのは大西さんだった。


大西さんは目を輝かせて奏の体を見つめている。
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