女王様の言うとおり
素敵……?


この状況でどこからそんな言葉が出て来るのだろうか。


あたしは自分の耳を疑っていた。


ヒナは青ざめてうずくまってしまっている。


「彼女は虫を助けただけじゃなく、繁殖機としても有能だったのね! 彼女ひとりの体でこれだけ仲間が増えるなんて!」


大西さんは興奮気味に言い、そして大きく嘆息した。


その表情は奏の体から出て来る蟻を見てうっとりと目を細められていたのだった。
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