女王様の言うとおり
教室内に入った瞬間甘い香りがして、その美しさに時間が止まってしまったかと思ったほどだ。


「今回は、普通の子だよね?」


ヒナが怯えた表情になって柊真へ聞いた。


「この学校にはもう女王蟻がいる。さすがに、違う蟻が入ってくることはないと思う」


柊真の言葉にあたしはホッと胸をなで下ろした。


ハンパな時期に転校してくるということで、つい疑心暗鬼な考え方になってしまう。


「隣のクラスって、奏がいたクラスだね」


あたしは死んでしまった奏に思いをはせて呟く。


あの葬儀の後葬儀場は大パニックになっていた。


死体から大量の蟻がでてきたのだから、当然だった。


火葬されるはずだった奏の体は司法解剖に回されることになったらしい。

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