女王様の言うとおり
どれだけ時間が経っただろう?


それはほんの数十秒だったはずなのに、永遠のように長く感じられた。


ヒナは遊星に抱きつくようにしてキスを受け入れている。


青かった頬は自然な肌色へ変わり、恐怖して震えていた体はすっかり震えを止めている。


ヒナの代わりに青ざめたのはあたしだった。


体が震えはじめたのはあたしだった。


「ヒナ……」


声をかけても、もうヒナは返事をしない。


幸せ一杯の笑みを浮かべて、遊星を見つめるばかりだ。
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