女王様の言うとおり
「ねぇ、ちょっといい?」


あたしはひとりでB組へ向かい、一人の男子生徒を呼び止めた。


眼鏡をかけた男子生徒は手に甘いお菓子を持っていて、今まさに自分の女王様、アイリへ持っていくところだったみたいだ。


「なに?」


早くアイリにお菓子を持って行きたいようで、あからさまに嫌な顔をされてしまった。


「ちょっと話があるの」


あたしはそういうと眼鏡男子の手を握りしめて、強引に歩き出した。


そのまま多目的トイレのドアを開けて入って行く。


「なんだよこんなところで……」


彼が最後まで言い終える前に、あたしは背伸びをしてキスをしていた。


一瞬大きく目を見開く男子生徒。


それでもあたしは唇を離さなかった。


徐々に表情を替え、恍惚としたものになっていくのを確認して、ようやく身を離す。
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