女王様の言うとおり
☆☆☆

入っていた通り、大西さんはあたしが出て来るのを待ってくれていた。


病院の玄関から出てその姿を見つけた時は本気で泣いてしまいそうになった。


「よく頑張ったわね」


そう言って抱きしめられるとついに涙腺が崩壊し、次々と涙があふれ出してくる。


大西さんに会えることがこれほど幸せな事だなんて、考えたこともなかった。


しかし、病院から抜け出しても家に戻ることはできない。


そんなことをしたら両親に見つかり、また病院に戻ってくることになるだけだ。


下手をすれば今度は拘束具を付けられることになるだろう。


そのため、あたしは大西さんの家に行くことになったのだ。


女王様の家にお邪魔できるなんて、これもまた夢ではないかと自分を疑い、頬をつねったほどだ。


頬にちゃんとした痛みを感じた時、すべて現実なのだと知った。


「ここがあたしの家よ」


やってきたのは学校から近い山の中だった。


そこには大きな穴が掘られていて洞窟のようになっている。


入ってみると土の香りがダイレクトに鼻腔を刺激し、その後甘い香りが漂って来た。


奥へ奥へと続いているらしい穴を進むと、右手に食料庫、左手にトイレ用の深い穴が掘られた部屋など、様々な部屋が出現する。
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