女王様の言うとおり
気が付くと、涙が頬を流れていた。


あたしはなにをしているんだろう?


どうして友人たちが次々と死んでいるんだろう?


ふと周囲を見回してみればあたしと同じように泣いている生徒が沢山いることに気が付いた。


みんな目の前で繰り広げられる乱闘に自我が戻りつつあるのかもしれない。


でも……こんな残酷なことってない。


友人を殺し、殺され、そんな中で我に返るなんて……。


考えていると行動が鈍ってしまった。


あたしはいとも簡単に敵の仲間に捕らえられ、その牙を首筋に突き刺されていたのだ。


牙から入って来る毒液が血液を回って体中に流れて行くのを感じる。


体内にいた蟻たちが危険を察知して、慌てて口や耳から這い出して来た。


ぞろぞろとあたしの顔面を逃げ惑う蟻。


そんなあたしを見て大西さんが落胆の表情を浮かべてため息を吐きだした。


昨日せっかく助けてやったのに、役立たずだったと言いたいのかもしれない。
< 225 / 228 >

この作品をシェア

pagetop