女王様の言うとおり
あたしはなにも言い返すこともできず、ただ毒刃の餌食になる。


「心美!」


意識を失いそうになったとき、柊真の声が聞こえて来た。


目だけ動かしてどうにかそちらへ視線を向ける。


そこには腹部に針が突き刺さった状態の柊真がいた。


柊真もあたしと同じように口や耳、目の隙間から大量の蟻を排出しながら、あたしに手を伸ばしている。


それを見て嬉しさが込み上げて来た。


あたしの好きな柊真がすぐそこにいる。


あたしへ向けて手を伸ばしている。


そのことを、ちゃんと理解できた。
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