女王様の言うとおり
そう言ってヒナは目を輝かせる。


春休み中にダラダラと過ごしてしまったあたしとは違うらしい。


ヒナが熱心に語る小顔体操に耳を傾けていると、次々と学生たちが教室へ入って来た。


そのほとんどが見知った顔だ。


1年生の頃別のクラスになった子でも、同じ普通科だから知らない子はほとんどいない。


「あ、遊星!」


ヒナの話を遮り、あたしは今教室へ入って来た男子生徒に声をかけた。


阿住遊星(アズミ ユウセイ)。


ヒナと同じで1年生の頃から仲良しだ。


遊星は気だるそうに片手を上げて大きな欠伸をした。


いつもはツンツンに立ててセットしている髪の毛が、今日はダラリと垂れ下がっている。


本人も髪型も、なんだか今日はやる気がなさそうだ。


そんな遊星へ向けてヒナが小走りに近づいていった。


「おはよう遊星」


「おぉー」


挨拶の返事とは思えない返事をして、また欠伸。
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