女王様の言うとおり
そう思いながら体育館の隣のグラウンドへ視線を向ける。


途端に「なにしてんだよ!」という怒号が聞こえて来た。


男子生徒の1人がグラウンドの真ん中にしゃがみ込んでいるが、そこにいられるとサッカーができないので怒っているようだ。


もっとしっかり確認してみると、しゃがみ込んでいるのは大山君だということがわかった。


「なにしてんのあれ」


あたしは瞬きをしていう。


「あそこに蟻の行列がいるんだって。踏まれるから守ってるみたい」


女子の1人がそう教えてくれた。


あたしとヒナは目を見交わし、そして眉間にシワを寄せた。


蟻の行列を守っている……?


大山君のその思考は全く理解できなくて、困惑するばかりだ。


ただ、当の大山君は本気のようで、一歩もその場から動こうとしない。
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