女王様の言うとおり
気が付けば大西さんがあたしのすぐ横に立ってグラウンドの光景を見つめている。


「誰か、止めて!」


大山君は人が変わったように何度も何度も繰り返し男子生徒の頬を殴りつけていて、その顔からは鼻血が噴き出していた。


大山君は目を血走らせ口の端からヨダレを垂らしている。


今の状況は全く理解できていなさそうなその顔に、背筋がゾッと寒くなった。


「止めないと……!」


あたしは咄嗟にそう呟き、体育館シューズのまま駆け出していた。


「大山君、もうやめて!」


叫び声を上げて近づき、大山君の背中にしがみ付いた。


それを見た男子生徒たちがようやく我に返って駆けつけてきた。


大山君が暴行した生徒は、すでに意識を失っていたのだった……。
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