女王様の言うとおり
話し出したら止まらなくて一気に説明した。


「キスか……」


柊真がなにか考え込むように呟いて険しい表情になった。


「なにがどうなってるのか全然わからない。だけど、奏の彼氏は言ってたの。大西さんは女王様だって……」


「女王様?」


「そう。冗談とか、そんな風じゃなかった。本気で女王様だと思ってるように聞こえた」


あたしの説明に柊真は首を傾げる。


だけどそれ以上の説明のしようがなくて、あたしは黙り込んでしまった。


あのキスは普通じゃない。


だけど、じゃあなにが違うのかと言われれば説明できなかった。


今回は大西さんはなにもしていないことだって事実だ。


考えれば考えるほどわからなくて、頭を抱え込みたくなった。


「とにかく、大西さんには気を付けた方がいいと思う」


今のあたしにはそのくらいのことしか言えないのだった。
< 70 / 228 >

この作品をシェア

pagetop