女王様の言うとおり
プリント用紙を机にしまっていた時、大西さんがドアから出ていくのが見えた。


「どこに行くの?」


教室を出る手前で、思わずそう声をかけた。


大西さんは突然声をかけられたことに驚き、目を見開く。


しかしすぐに柔らかくほほ笑んだ。


「先生の様子を見に行こうと思うの。隣の診療所にいるっていうから」


「ひとりで?」


「うん。あまり大勢で押しかけても悪いと思うから、誰も誘わずに行くつもり」


遠まわしについてくるなと言われている気分だった。


「そっか。先生の様子がわかったらあたしにも教えてね」


「もちろん」


大西さんはにこやかに頷くと、一人で教室を出て行ったのだった。


「大西さんと何話してたの?」


大西さんが教室を出ていくのを見送っていると、ヒナが声をかけてきた。


ヒナの後ろには柊真もいる。
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