女王様の言うとおり
あたしの席の後ろはなぜかひとつ開いていて、その後ろに女子生徒が座っている。


その女子生徒が動く度に柊真の姿が見え隠れする。


あたしはため息を吐きだして手鏡を胸ポケットにしまった。


「次は転校生を紹介する」


先生の言葉にあたしはようやく、まともに話を聞く気になって顔を上げた。


今日転校生が来る話なんて聞いていなくて、教室内もざわめいている。


「大西さん、入って来て」


先生に言われて、すぐ近くのドアがゆっくりと開いた。


大西と呼ばれたその人が教室へ入ってきた瞬間ハチミツのような甘い香りが鼻腔を刺激した。


しかしそんな匂いも気にならなくなるくらい、その人自身がキラキラと輝いて見えた。


濡れ羽色の髪の毛は腰付近まで流れ、彼女が一歩歩くごとに光輝く。


白い透明感のある肌はその辺の女優にも負けないきめ細やかさ。


細い手足に細いウエストを持ち、長いまつ毛は瞬きする度に揺れていた。


あたしは唖然として大西さんと呼ばれたその子を見つめた。


こんなに美しい女性を今まで1度も見たことがなかった。
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