Bitter Sweet
教師2年目の春

初めてのクラス

「木崎先生は、1年5組担任です」


私、木崎 咲良、23歳。


大学卒業して、高校の数学教師になって1年。


まさか1年でクラスを持てるとは思わなかった。


教頭から言われた時は一瞬息が止まった。


すごく嬉しいのと同時に緊張する。


でも、同期の羽柴 絵梨花(はしば えりか) も1年4組担任だから、頼りながらなんとか頑張るしかないと思いながら、学年団の先生方と会議をする。


私が勤めている陽の川(ひのかわ)高校は県で5本の指に入る進学校。


卒業生は難関私立や国公立、中にはアメリカの有名な大学に進学した卒業生もいる。


だから、1年生から課題の量も多いし、授業のスピードも早い。


正直、私も授業を早くできるかどうか曖昧。


1クラス40人もいて全員をサポートできるかどうかも不安。


もう何もかも不安。


会議終了後、


「咲良、顔が強張ってるよ?」


「いきなりクラス持つなんて思わなかったんだもん…」


「咲良は去年、3-1の副担任してたじゃん〜」


「副担任と担任は全然違うよ!」


「てか、校長もなに考えてるか全然わかんないよね、私も去年は副担任ですらなかったのにいきなり担任だなんて。」


「絵梨花は生徒からも人気だし、授業も分かりやすいから校長が担任にしたんじゃない?」


「そうかな〜、てか、咲良」


「なに?」


「5組に来る、蓬莱 蓮斗(ほうらい れんと)いるじゃん?」


「あー、入試でトップの点数を取った子ね」


「その子、校長の息子さんだよ」


「そうなんd…、えー!!!!」


職員室で大きな声で叫んでしまった。


「絵梨花がなんで知ってるの!?」


「他の先生も知ってるよ、知らないの絵梨花だけだと思うけど?」


「そうなのーーーー、あー、普通に接せるかな〜」


「校長の息子でも、生徒だから普通に接しないと、校長の息子とか考えなきゃいいんだよ〜」


「そうだね」


そうして、入学式の日を迎えた。


まさかこの日から生徒に恋するとはもちろん思わなかった…

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