Bitter Sweet
夏休みに入りすぐ三者面談。
40人で1日5人だから約1週間。
夏休みなのに休みがない。
でも生徒の将来に関わる大事な話し合いの時間。
出席番号順に三者面談が組まれている。最初は阿部くん。
「阿部くん、そしてお父様、こちらにお座りください。」
「阿部くんは進路まだ決まってないみたいね、やりたいことはない?」
「まだ決まってないです。」
「行きたい大学は?」
「国立に行きたいくらいしか…」
「そっか、国立に行きたいなら全科目それなりに点数高くないとだめだね、でも、前期のテストも低くないし、11月に初めての模試もあるしゆっくり頑張って行こうね」
「はい」
「お父様はなにかおっしゃりたいことはありますか?」
「悠佑(ゆうすけ)は学校生活どうでしょう?元気にやってますか?」
「ええ、いつもクラスのみんなと仲良くやってますよ、勉強も頑張ってますし。」
「よかったです。優佑には寂しい思いをさせてるので元気にやっているなら安心しました。」
「阿部くんからは何かある?」
「いや別に。」
「じゃ、これで以上で。」
「ありがとうございました。」
15分ぴったりで終わった。こんな感じで40人終わればいいけどそんなわけにはいかない。
行きたい学校があっても今の成績じゃ行けないとはっきり言わなきゃいけない時や、親と子供で意見が合わない時、全く勉強してない生徒を注意して親と喧嘩が始まってしまった時…
たまには親御さんとたわいもない話をして1時間以上話してしまう時もあった。
三者面談は基本的に緊張するけど、親御さんから普段分からない生徒のことを知れるしいろんな話を聞けるから楽しい部分もある。
4日目の最後。
蓬莱蓮斗。
4日目は結構気さくな親御さんや生徒からいろんな話を聞いて1時間以上予定時刻を過ぎている。
いろんな意味で蓮斗が1番緊張する。
生徒でもあるし、彼氏でもあるから。
「蓬莱くんのお母様ですね、蓬莱くんも、遅れてしまい申し訳ございません。」
「全然大丈夫です」「大丈夫だよ、先生!」
蓮斗のお母さんは小柄で細身で黒髪のストレートで麗しい大人の女性って感じ。
「蓬莱くんは建築関係の大学に行きたいとおっしゃっていますね。」
「知ってます、蓮斗がこんなにはっきり自分の思いを言ったことは初めてなので蓮斗の気持ちを1番にしたいです」
「そうなんですね、蓬莱くんは前期のテストもほぼ満点ですしこのまま行けばどの大学でも行けるでしょう。」
「そうですか、それはよかったです!蓮斗を一人暮らしさせてるし学校も父親がいますし、蓮斗がまた不安定になるんじゃないかと不安だったんですけど、蓮斗頑張ってくれているんですね」
「蓬莱くん、頑張っていますよ」
「蓮斗が自分の気持ちを大切にしてくれててよかった…いつも周りばっか見てたから…」
「お母さん」
「先生に変なことを言っててすいません」
「いえ、お母様も職業が弁護士だと蓬莱くんから聞きました、お母様も1人で全て抱え込んで大変だったと思います。」
「弁護士って人の人生の1部を負うものですから家庭じゃなくて仕事を優先していたんですけど、そのせいで蓮斗が自分の気持ちを押さえ込んでしまっていて、でも…よかったです、最近蓮斗が変わっている気がして、もしかして先生のおかげかもしれませんね」
「先生のおかげだよ」
「そんなことないよ、蓬莱くん自身が頑張ったからだよ」
なんとか誤魔化すけど蓮斗の目はキラッと光っている。
そんなドヤッとしなくても。
まさか蓮斗のお母様は気付いてないよね…?
「先生、これからも蓮斗のことをよろしくお願いします」
「もちろんです」
終わった瞬間、縛られてないのに謎の解放感があった。
40人で1日5人だから約1週間。
夏休みなのに休みがない。
でも生徒の将来に関わる大事な話し合いの時間。
出席番号順に三者面談が組まれている。最初は阿部くん。
「阿部くん、そしてお父様、こちらにお座りください。」
「阿部くんは進路まだ決まってないみたいね、やりたいことはない?」
「まだ決まってないです。」
「行きたい大学は?」
「国立に行きたいくらいしか…」
「そっか、国立に行きたいなら全科目それなりに点数高くないとだめだね、でも、前期のテストも低くないし、11月に初めての模試もあるしゆっくり頑張って行こうね」
「はい」
「お父様はなにかおっしゃりたいことはありますか?」
「悠佑(ゆうすけ)は学校生活どうでしょう?元気にやってますか?」
「ええ、いつもクラスのみんなと仲良くやってますよ、勉強も頑張ってますし。」
「よかったです。優佑には寂しい思いをさせてるので元気にやっているなら安心しました。」
「阿部くんからは何かある?」
「いや別に。」
「じゃ、これで以上で。」
「ありがとうございました。」
15分ぴったりで終わった。こんな感じで40人終わればいいけどそんなわけにはいかない。
行きたい学校があっても今の成績じゃ行けないとはっきり言わなきゃいけない時や、親と子供で意見が合わない時、全く勉強してない生徒を注意して親と喧嘩が始まってしまった時…
たまには親御さんとたわいもない話をして1時間以上話してしまう時もあった。
三者面談は基本的に緊張するけど、親御さんから普段分からない生徒のことを知れるしいろんな話を聞けるから楽しい部分もある。
4日目の最後。
蓬莱蓮斗。
4日目は結構気さくな親御さんや生徒からいろんな話を聞いて1時間以上予定時刻を過ぎている。
いろんな意味で蓮斗が1番緊張する。
生徒でもあるし、彼氏でもあるから。
「蓬莱くんのお母様ですね、蓬莱くんも、遅れてしまい申し訳ございません。」
「全然大丈夫です」「大丈夫だよ、先生!」
蓮斗のお母さんは小柄で細身で黒髪のストレートで麗しい大人の女性って感じ。
「蓬莱くんは建築関係の大学に行きたいとおっしゃっていますね。」
「知ってます、蓮斗がこんなにはっきり自分の思いを言ったことは初めてなので蓮斗の気持ちを1番にしたいです」
「そうなんですね、蓬莱くんは前期のテストもほぼ満点ですしこのまま行けばどの大学でも行けるでしょう。」
「そうですか、それはよかったです!蓮斗を一人暮らしさせてるし学校も父親がいますし、蓮斗がまた不安定になるんじゃないかと不安だったんですけど、蓮斗頑張ってくれているんですね」
「蓬莱くん、頑張っていますよ」
「蓮斗が自分の気持ちを大切にしてくれててよかった…いつも周りばっか見てたから…」
「お母さん」
「先生に変なことを言っててすいません」
「いえ、お母様も職業が弁護士だと蓬莱くんから聞きました、お母様も1人で全て抱え込んで大変だったと思います。」
「弁護士って人の人生の1部を負うものですから家庭じゃなくて仕事を優先していたんですけど、そのせいで蓮斗が自分の気持ちを押さえ込んでしまっていて、でも…よかったです、最近蓮斗が変わっている気がして、もしかして先生のおかげかもしれませんね」
「先生のおかげだよ」
「そんなことないよ、蓬莱くん自身が頑張ったからだよ」
なんとか誤魔化すけど蓮斗の目はキラッと光っている。
そんなドヤッとしなくても。
まさか蓮斗のお母様は気付いてないよね…?
「先生、これからも蓮斗のことをよろしくお願いします」
「もちろんです」
終わった瞬間、縛られてないのに謎の解放感があった。