Bitter Sweet
体育館近くの病院に着いた。
道中では何一つ話さなかった。
話すこともないし。
まず足痛い。
俺がメールを送って、返事が咲良ちゃんからきてた。
「わかった、明日また学校でね!本当にかっこよかったよ!」
かっこいいだなんて言われたら怪我してでも頑張ってよかったと思える。
思わず少しにやけてしまった。
親父と病院に入って、すぐに診察を受ける。
「蓬莱蓮斗さんですね、結果は右足の捻挫なんだけど、結構重度でもう少しで軟骨損傷まで行くところだったから一応入院してリハビリした方がいいかもしれない。ここで中途半端な治療すると疲労骨折に繋がるからね」
「どれくらい入院ですか?」
「2週間くらいかな」
「蓮斗、入院するよな?」
「うん」
こうしてまさかの入院が決まった。
2週間も咲良ちゃんと会えないとか最悪。
「蓮斗の住んでる家知らないんだけど、お前の服とか持ってこなきゃいけないから住所教えて、その後お母さんには伝えるから」
「分かった」
「蓮斗、2週間の間俺こない方がいいだろ?」
「なんで?」
「俺は父親失格だからな…」
「自覚しているんだ」
「当たり前だろ、でも蓮斗と2人の時間ほとんどないから話すけど、確かに俺は父親としてだめだし、お母さんに対しても申し訳ないと思ってる、今更謝っても2人が負った傷は拭えないの分かってる、でも俺は少しでもお前のために肩書きだけの父親にならないように頑張っているつもりだ、お前は無理に受け入れなくていい。」
「………あっそ、来たい時来れば」
「ありがとう、俺、蓮斗の家からいろいろ持ってくるぞ」
そう言って親父は俺の家に言って服とか充電器とか少しの勉強道具を持ってきてくれた。
「お前の家に初めて入ったけどしっかりしてるな、部屋綺麗だし」
咲良ちゃんが掃除しています。
「もう高校生だから当たり前だろ。」
「そうか、成長したな」
「本当父親って感じで話してくるね」
「まぁ、慣れないと思うけど、お母さんには連絡しておいた、明日朝にでも来るって」
「うん」
「これ好きだろ、たこ焼き夜食べな、じゃ、俺は帰るぞ、また来る。」
これが親ってもんか…
初めて親父の温もりを感じた気がした。