Bitter Sweet
「蓮斗へ
蓮斗がこの手紙を読んでる時は、私はもう蓮斗が見える所にはいないと思う。突発的だけど、蓮斗、別れよう。一方的でごめんね。蓮斗にはもっと高校生という輝かしい時間を思いっきり楽しんでほしい。私がいても蓮斗は友達たくさんいるし、人気者だからたくさんの友達に囲まれて楽しい高校生活を送れると思う。でも、私蓮斗のこと好きなのに、なぜか心苦しかった。お互いに好きなのに付き合ってはいけない気がした。それで思った、私は蓮斗と別れた方がいいと思った。別れても学校で会えば、蓮斗も私もずっと苦しいままだから、私が見えないところに行ってお互いに新しい毎日を過ごしていこう。私がどこの高校に行ったか探らないでね、私は蓮斗が毎日楽しく過ごすことを祈ってます。木崎 咲良」
知らない間に右手で手紙を潰してしまっていた。
これが俺のため?
咲良といたほうが毎日明るく過ごせていたし、学校も楽しかった。
咲良がいないなんてありえない。
咲良以外の女なんて俺には無理。
俺には咲良しかいない。
学校では真面目に数学を教えるキリッとした顔。
2人きりでは俺に向けて屈託のない笑顔を見せてくれた。
その顔を、咲良と一緒過ごした時間、何もかもを忘れる訳ないだろ…
俺と咲良は付き合ってはいけない?
生徒と教師だから?
バレたら俺だって学校辞めてもいい。
それでも俺は咲良がよかった。
なんとか咲良とずっと付き合っていたかった。
なのに付き合ってはいけない……
この世界に付き合っていけない人なんていないだろ……
肩書きなんか無視してその人自身を愛することのなにが悪いんだ…
俺は咲良の思いを理解できない。
たぶん一生できない。
咲良が俺と別れたのは咲良のわがまま。
なら、俺も1つわがままをする。
俺は咲良と別れたと思わない。時間が掛かっても咲良を見つけるよ。