Bitter Sweet
3限目の終わりのチャイムが鳴った。
すぐに俺は5組の教室に行く。
碧海に逢いに。
今日は学食で食べたくない。どうせ女子から、プレゼントを貰うんだろう。
プレゼントを貰うこと自体は嫌じゃない。
でも、なんか心が苦しくなる。
「碧海いる?いるなら呼んで欲しいんだけど」
俺の高校は放課後にならないと他の教室に入れない。
だから今は5組に入れない。
「あ、おいくん、ね、ちょっと待っててね…」
なんでそんなに動揺しているんだろう。
あー、あの子は、確か去年俺に告白してきた…
それで俺が振ったんだ。
まだ俺のことが……
そんな単純な妄想をしてたら、
「どうした」
「今日は学食行きたくないから、パン買って屋上行こう」
「分かった、財布持ってくるわ」
購買に行く途中でも食べ物とかいろんな物を貰う。正直あまり嬉しくないけど、嫌な顔をするわけにはいかない。なんとか作り笑顔で「ありがとう」と言いながら購買でパンを買って、屋上に向かい、青いベンチに座る。
「購買でパン買う意味ある?貰ったやつ食べればいいじゃん」
「はぁ、俺は購買のパンでいい」
「そう、それでまた恋愛相談か?」
「俺そんなに悩んでるように見える?」
「周りからしたら普通の蓮斗だけど、なんか心の奥は深いモヤモヤがあるように見えるけどな、俺には」
「エスパーかよお前は」
「蓮斗だけ分かるんだよ、ずっといるから」
「そうか」
「ガチャ」
誰かが来る、正直誰も来ないで欲しい。
「やっぱここか」
「恒星、なんでここに」
「弱そうな目してんな」
「は?」
「あ、俺、相馬恒星(そうま こうせい)。同じバスケ部で今年から同じクラスメイトになったやつ、俺のこと恒星って呼んで」
「俺は、水上 碧海。剣道部。蓮斗とは小学校からずっと友達、俺は碧海でいいや」
「それは蓮斗から聞いてた」
「そっか」笑
「で、なんだよ俺の弱そうな目って」
「なんか心の迷い?が見える。で、昼に聞こうと思ったけど、学食にいないから屋上かなと思ったらいたわけ」
「お前もエスパーか」
「蓮斗、恒星にはなにも言ってないのか?」
「やっぱなんか深いなんかあるんだな」
「お前が怖くなってきたよ」
「いや、一応な碧海よりは短いけど1年間毎日部活でペアで練習したりずっと一緒に試合してると相手の気持ちわかるんだよ」
「確かに、俺も恒星の気持ち読み取れることある、プレーでもこっち動くだろうなとか」
「そう、それと一緒」
「だから今のお前はなんか裏で苦しんでる感じがする、表向きはしっかりしてるようだけど。言えるなら俺にも言って欲しいな、もちろん誰にも言わねえから」
ここまで言われたら言うしかない。恒星のこと嫌いじゃない、寧ろ頼りにしてる。
「俺、木崎咲良と付き合ってた」
「木崎…」
「去年いた数学教師、蓮斗のクラスの担任」
「あー、あーーーー!?」
「声がでけえよ」
「教師と付き合ってたのか!?」
「まぁ、うん」
「過去形ってことは別れたのか?」
「一方的に手紙でな、そこには私は好きなのに付き合っていけない気がした、心苦しかった、別れた方が良かったって書いてあって、俺意味わかんなくて、好きなら別れなくていいのに、でも碧海が言った通り、咲良は俺を彼氏とだけではなく教師として生徒として見たからこの判断をしたんじゃないかって、だから咲良の気持ちを理解してやれって言われて、それでなんとか咲良の気持ちを俺の中で消化した。でもこれから俺がどうすればいいか分からない。俺が咲良を諦めていいのか、もし諦められなかったら、ずっと好きになっていいのか、それで咲良は受け入れてくれるのか、もう分からないんだよ、自分の気持ちが。」
恒星も碧海もずっと静かに俺の話を聞いてくれた。
「1回お前、そのクリームパン全部食べろ」
「は?」
「いいから」
恒星の謎の命令を言われ、言われるがままにクリームパンを全部食べる。
「食べたら、俺が買った牛乳あげるからそれ飲んで」
「なにする気だよ」
「いいから」
碧海もなにをするか分かんない顔をしている。
たぶん俺もそういう顔をしている。
瓶の牛乳、久しぶりに飲む。冷たくて気持ちいい。
「ほら飲んだよ」
「よし、それで1回深い深呼吸して」
「すぅ〜〜はぁ〜〜〜」
「スッキリした?」
「少しは」
「俺が落ち着かない時にやる通過儀礼みたいなもん、それじゃ聞くぞ」
「蓮斗は木崎咲良が好き?」
「……好き」
「忘れられないから好きじゃなくて、本当に好きなんだな?」
「そうだな」
「じゃ、木崎咲良とはまた付き合いたい?」
「そうだな、忘れられないし、やっぱり咲良以外は無理」
「木崎咲良がもし蓮斗のことを嫌いになったら?」
「諦めるしかないと思う…」
恒星はしばらくして
「碧海と俺の意見たぶん一緒だと思う」
「は?今初めて会ったばかりじゃねーか」
「俺も恒星とたぶん一緒のこと思ってる」
「まじで2人怖いんだけど」
「じゃ、いっせいので言うか?」
「じゃ、言って」
「いっせいの」
「「卒業してから木崎にアタック」」
本当に2人の意見が合った。
恒星:「蓮斗のことを生徒として見てしまって、教師として蓮斗の時間を奪ってるんじゃないかって思って、別れたんだよ、嫌いだから別れたんじゃない。ってことは、お前が生徒じゃなくなったら、教師としての想いは木崎にはなくなるんだ。だから卒業したらアタックすればいい。それに、あくまで俺の予想だけど、木崎は蓮斗のことを忘れられないと思う」
蓮斗:「なんでそこまで分かるんだよ?」
碧海:「木崎が蓮斗のこと好きなのに別れたから。木崎は好きという気持ちより教師としての気持ちを優先したから別れたんだよ。だからといって好きという気持ちが消えたとは限らない。」
恒星:「そういうこと」
確かに、咲良は好きなのに、苦しかった。俺が生徒で咲良が教師という関係性があるから。それがなくなって俺が生徒じゃない時にアタックすれば咲良はまた俺を受け入れてくれる。
碧海:「てかなお前、木崎から振られたから弱気になりすぎなんだよ、いや、人から初めて振られたからあまりにもショックなのか、いつもお前から振ってたから」
蓮斗:「うるせーよ!」
碧海:「好きなんだろ?木崎咲良が忘れられないし、木崎以外の女は無理なんだろ?なら、攻めろ、アタックしろよ、男だろ?1度振られたからって弱気になるんじゃねえよ。生徒じゃなくなったら1人の男としかお前を見ないから、その時に思いっきりお前の気持ちをぶつけろよ。お前、今まで弱気なところなかったのにこんなに迷ってるお前見てムカついてきて…言っただろ、将来はお前がしたいようにしろって、家で言ったじゃねーか!」
こんなに感情を高めている碧海を初めて見た。
恒星:「強気で行くんだ!」
今は俺よりも2人の方が強気になってるけど、俺のわがままを思いっきり咲良にぶつけよう。もう俺は揺らがない。俺が生徒じゃなくなったら、生徒と教師の関係性もなくなる。そしたら、ストレートに気持ちのままに行動していいはずだ。
「ありがとう2人とも」
碧海:「もう1回弱気なところを見せるんじゃねーよ」
恒星:「弱気になりそうになったらクリームパンに冷たい牛乳だな」
蓮斗:「そうだな」笑
碧海:「俺もそうする」
咲良、卒業まで待ってて。
すぐに俺は5組の教室に行く。
碧海に逢いに。
今日は学食で食べたくない。どうせ女子から、プレゼントを貰うんだろう。
プレゼントを貰うこと自体は嫌じゃない。
でも、なんか心が苦しくなる。
「碧海いる?いるなら呼んで欲しいんだけど」
俺の高校は放課後にならないと他の教室に入れない。
だから今は5組に入れない。
「あ、おいくん、ね、ちょっと待っててね…」
なんでそんなに動揺しているんだろう。
あー、あの子は、確か去年俺に告白してきた…
それで俺が振ったんだ。
まだ俺のことが……
そんな単純な妄想をしてたら、
「どうした」
「今日は学食行きたくないから、パン買って屋上行こう」
「分かった、財布持ってくるわ」
購買に行く途中でも食べ物とかいろんな物を貰う。正直あまり嬉しくないけど、嫌な顔をするわけにはいかない。なんとか作り笑顔で「ありがとう」と言いながら購買でパンを買って、屋上に向かい、青いベンチに座る。
「購買でパン買う意味ある?貰ったやつ食べればいいじゃん」
「はぁ、俺は購買のパンでいい」
「そう、それでまた恋愛相談か?」
「俺そんなに悩んでるように見える?」
「周りからしたら普通の蓮斗だけど、なんか心の奥は深いモヤモヤがあるように見えるけどな、俺には」
「エスパーかよお前は」
「蓮斗だけ分かるんだよ、ずっといるから」
「そうか」
「ガチャ」
誰かが来る、正直誰も来ないで欲しい。
「やっぱここか」
「恒星、なんでここに」
「弱そうな目してんな」
「は?」
「あ、俺、相馬恒星(そうま こうせい)。同じバスケ部で今年から同じクラスメイトになったやつ、俺のこと恒星って呼んで」
「俺は、水上 碧海。剣道部。蓮斗とは小学校からずっと友達、俺は碧海でいいや」
「それは蓮斗から聞いてた」
「そっか」笑
「で、なんだよ俺の弱そうな目って」
「なんか心の迷い?が見える。で、昼に聞こうと思ったけど、学食にいないから屋上かなと思ったらいたわけ」
「お前もエスパーか」
「蓮斗、恒星にはなにも言ってないのか?」
「やっぱなんか深いなんかあるんだな」
「お前が怖くなってきたよ」
「いや、一応な碧海よりは短いけど1年間毎日部活でペアで練習したりずっと一緒に試合してると相手の気持ちわかるんだよ」
「確かに、俺も恒星の気持ち読み取れることある、プレーでもこっち動くだろうなとか」
「そう、それと一緒」
「だから今のお前はなんか裏で苦しんでる感じがする、表向きはしっかりしてるようだけど。言えるなら俺にも言って欲しいな、もちろん誰にも言わねえから」
ここまで言われたら言うしかない。恒星のこと嫌いじゃない、寧ろ頼りにしてる。
「俺、木崎咲良と付き合ってた」
「木崎…」
「去年いた数学教師、蓮斗のクラスの担任」
「あー、あーーーー!?」
「声がでけえよ」
「教師と付き合ってたのか!?」
「まぁ、うん」
「過去形ってことは別れたのか?」
「一方的に手紙でな、そこには私は好きなのに付き合っていけない気がした、心苦しかった、別れた方が良かったって書いてあって、俺意味わかんなくて、好きなら別れなくていいのに、でも碧海が言った通り、咲良は俺を彼氏とだけではなく教師として生徒として見たからこの判断をしたんじゃないかって、だから咲良の気持ちを理解してやれって言われて、それでなんとか咲良の気持ちを俺の中で消化した。でもこれから俺がどうすればいいか分からない。俺が咲良を諦めていいのか、もし諦められなかったら、ずっと好きになっていいのか、それで咲良は受け入れてくれるのか、もう分からないんだよ、自分の気持ちが。」
恒星も碧海もずっと静かに俺の話を聞いてくれた。
「1回お前、そのクリームパン全部食べろ」
「は?」
「いいから」
恒星の謎の命令を言われ、言われるがままにクリームパンを全部食べる。
「食べたら、俺が買った牛乳あげるからそれ飲んで」
「なにする気だよ」
「いいから」
碧海もなにをするか分かんない顔をしている。
たぶん俺もそういう顔をしている。
瓶の牛乳、久しぶりに飲む。冷たくて気持ちいい。
「ほら飲んだよ」
「よし、それで1回深い深呼吸して」
「すぅ〜〜はぁ〜〜〜」
「スッキリした?」
「少しは」
「俺が落ち着かない時にやる通過儀礼みたいなもん、それじゃ聞くぞ」
「蓮斗は木崎咲良が好き?」
「……好き」
「忘れられないから好きじゃなくて、本当に好きなんだな?」
「そうだな」
「じゃ、木崎咲良とはまた付き合いたい?」
「そうだな、忘れられないし、やっぱり咲良以外は無理」
「木崎咲良がもし蓮斗のことを嫌いになったら?」
「諦めるしかないと思う…」
恒星はしばらくして
「碧海と俺の意見たぶん一緒だと思う」
「は?今初めて会ったばかりじゃねーか」
「俺も恒星とたぶん一緒のこと思ってる」
「まじで2人怖いんだけど」
「じゃ、いっせいので言うか?」
「じゃ、言って」
「いっせいの」
「「卒業してから木崎にアタック」」
本当に2人の意見が合った。
恒星:「蓮斗のことを生徒として見てしまって、教師として蓮斗の時間を奪ってるんじゃないかって思って、別れたんだよ、嫌いだから別れたんじゃない。ってことは、お前が生徒じゃなくなったら、教師としての想いは木崎にはなくなるんだ。だから卒業したらアタックすればいい。それに、あくまで俺の予想だけど、木崎は蓮斗のことを忘れられないと思う」
蓮斗:「なんでそこまで分かるんだよ?」
碧海:「木崎が蓮斗のこと好きなのに別れたから。木崎は好きという気持ちより教師としての気持ちを優先したから別れたんだよ。だからといって好きという気持ちが消えたとは限らない。」
恒星:「そういうこと」
確かに、咲良は好きなのに、苦しかった。俺が生徒で咲良が教師という関係性があるから。それがなくなって俺が生徒じゃない時にアタックすれば咲良はまた俺を受け入れてくれる。
碧海:「てかなお前、木崎から振られたから弱気になりすぎなんだよ、いや、人から初めて振られたからあまりにもショックなのか、いつもお前から振ってたから」
蓮斗:「うるせーよ!」
碧海:「好きなんだろ?木崎咲良が忘れられないし、木崎以外の女は無理なんだろ?なら、攻めろ、アタックしろよ、男だろ?1度振られたからって弱気になるんじゃねえよ。生徒じゃなくなったら1人の男としかお前を見ないから、その時に思いっきりお前の気持ちをぶつけろよ。お前、今まで弱気なところなかったのにこんなに迷ってるお前見てムカついてきて…言っただろ、将来はお前がしたいようにしろって、家で言ったじゃねーか!」
こんなに感情を高めている碧海を初めて見た。
恒星:「強気で行くんだ!」
今は俺よりも2人の方が強気になってるけど、俺のわがままを思いっきり咲良にぶつけよう。もう俺は揺らがない。俺が生徒じゃなくなったら、生徒と教師の関係性もなくなる。そしたら、ストレートに気持ちのままに行動していいはずだ。
「ありがとう2人とも」
碧海:「もう1回弱気なところを見せるんじゃねーよ」
恒星:「弱気になりそうになったらクリームパンに冷たい牛乳だな」
蓮斗:「そうだな」笑
碧海:「俺もそうする」
咲良、卒業まで待ってて。