Bitter Sweet
君に会える日まで
-蓮斗side-


「ごめんね、愛菜ちゃんとは付き合えない」


これで告白されたの何度目なんだろう。


バスケ部マネの愛菜ちゃんは今でも泣きそうだ。


「わ、わかりました、でも、これからもマネとしてよろしくお願いします」


「こちらこそよろしく」


愛菜ちゃんが去ってから大きな溜息をつく。


俺は咲良しかいない。早く卒業して咲良に会いたい。


「また振ったのか、お前が溜息吐く立場じゃないだろ」


「なんだよ聞いてたのか」


「たまたまな、今日お母さんは日本に帰国してないのか?」


「明後日帰国するって」


「そうか、今日2人でご飯でも行かないか?」


2年になってから親父と連絡を取ることが多くなった。


親父のことは好きでもないが嫌いでもなくなった。


小さい時に比べたら親父に対しての嫌悪感はない。


むしろ、父親っていいな、って思うようになった。


これも咲良の影響かな。


でもご飯を食べに行くのは親子で初めてだ。


「行く」


「俺がいつも行ってる店でいいな、行くぞ」


連れてこられたのはステーキ専門店。


大人が来る店っぽくて家族連れが殆どいない。


メニューを見たらどれも高くてワインやおつまみもあったが俺は飲めないからオレンジジュースにサーロインステーキを頼んだ。



「この店な、お前のお母さんと来たこともあるんだよ」


「あ、そう」


「関心ないのか」


「俺前から聞きたかったけど、親父は俺とお母さんをどう思って接してるわけ?親父まだ若いだろ、他の女作ろうと思えばいくらでも作れるじゃん」



「失ってから気づいたんだよ、みっともないけど、俺は過去にしたことは消せないし申し訳ないと心から思ってる。だからこそ蓮斗をずっと見守っていきたいし、お母さんとも寄りを戻すまで考えていないが出来るだけサポートはしたい。だから再婚しないって決めてる。」


「そっか」


「そうだ、でもお前は俺に似てないな、俺は前、女遊び激しかったけどお前はずっと木崎先生だもんな」


「うるさ…」


「あたってるだろ、俺父親だからな」


「父親もそうかもしんねえけど、俺の学校の校長だからだろ」


「木崎先生、いい人だもんな」


ちょうどステーキが来た。


250gにご飯は量が多かった。お腹いっぱいになったけど店主のサービスでチョコレートアイスを食べた。



「冬休みから講習か?」


「そうだけど」


「今年雪結構降って寒いし電車通学も大変だろ、俺送るよ」


「そこまでしなくていいし、今更父親ぶるのかよ……でも父親ぶってる感じ今はしないけど」



「少しは素直になったか、じゃ明日な」


今年は父親からの愛情を感じた……気がする。
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