Bitter Sweet
-蓮斗side-
「分かりました、ありがとうございます」
推薦入試の小論文の添削を職員室で羽柴から受けていた。
アドバイスも的確で参考になる資料をくれるから結構ありがたい。
でも俺が行こうとしている建築学科の倍率が毎年高いから油断はできない。
だから同時に一般の勉強もする。
部活引退してから毎日補習3時間という部活よりもしんどいメニューだ。
俺は今日は推薦入試の対策を今までしていたため補習はしていない。だから今から自分で一般の勉強をするために教室で勉強する。
教室には誰にもいないから集中できる。
「お前、勉強しなくていいだろ」
「びっくりした!」
「よっぽど集中してたんだな」
「驚かせんなよ〜」
いきなり俺の頭上から聞こえた恒星の声。本当に集中してたからびっくりして咲良から貰ったペンを落としてしまった。
部活引退して本格的に頑張らなきゃいけなくなってから毎日使ってる。
このペンのおかげで咲良からパワーを貰っているし咲良が近くにいると思える。
本当に俺は木崎咲良に溺れている。
卒業したら俺が咲良を溺れさせる番だな。
「ニヤニヤしてる蓮斗キモい。」
いつの間にか咲良のことを考えてたら頬が緩んでたみたいだ。
いつもは咲良のこと考えても表情には出ないのに。
「ニヤニヤしてねえよ、俺は勉強しているんだぞ、邪魔すんなよー」
一応比定する。
「頭いいんだからどこ受けても合格するよ」
「油断禁物だよ合格しなきゃいけねえんだから」
「まじ木崎咲良だなお前」
「言葉がおかしいけど」
「全部咲良のために頑張ってるな〜って」
「それは否定しないけど、俺は高校生を思いっきり楽しんだよ、今はしんどいけど」
「それはそうだな、俺も楽しかったな〜、いっつも部活終わり馬鹿騒ぎしてたしな」
「そうだな、人それぞれ楽しみの感じ方は違うからな、俺は楽しかった」
「青春振り返るのはまた後でで、お前も勉強もしろよな〜」
「うるせーな」
「教室誰もいないからいいだろ」
「まぁな、実は俺、留学するんだよ」
「は?」
次は机にぽろっと落ちてしまったペン。
「言ってなかったっけ?」
「言ってない」
「俺の家な…逆らえないんだよもう」
初めて見る恒星の悲しい目。なにかを諦めてる目。そしてなにかを覚悟している目をしている。
「俺のお父さんさ、相馬 新次郎って言うんだよ」
「……まさか」
「そう、政治家なんだうちのお父さん、それで俺にも政治家なれって3歳の時からうるさく言われてゲームも禁止だしずっと勉強漬けの日々でアメリカの大学で政治を学ぶんだ」
いつも明るくてムードメーカーな恒星。
誰にも言えずにずっと悩み続けてきたんだ。
政治の道に進むのも本意ではないだろう。
楽しくゲームしたりバスケしたりする姿はいつもの恒星なんだろう。
家で真面目に勉強して親の言うことを逆らえずに忠実に聞いて行動するー
それが裏の恒星なんだろう。
本当の恒星は学校にいる時しか表れないのだろう。
「初めてだよ人に言うの」
「お前なりに苦しんできたんだな、今まで俺らにはなにも見せず」
「まぁな、ついでに言うと俺の彼女ってのもお父さんが無理矢理お見合いさせて付き合うことになった政治家の娘」
「まじかよ…」
無理矢理お見合いさせて付き合うとかドラマでの話だと思ったらこんな近くにいた。
本人の気持ちを無視して好きじゃない人と付き合ってなにが楽しいんだろう。
今思い出せば恒星から彼女の話を聞いたことがない。爽汰はいつも彼女とデートだとか一緒に昼食を食べたりするのに恒星はデートするとか聞いたことがない。
今まで恒星の思いのままにできたことは1つでもあるのか。
「たぶん政略結婚だろうな俺」
さらっとそんな嫌なこと言う。でも事実だろう。
「俺も高3だし自分の行きたい道見つけるべきなのにもう洗脳されたんかな、政治以外に浮かばないんだよ、だから俺政治学ぶことはいい。でも俺は政治家になりたくないし、政略結婚もごめんだ。」
誰でもそう思うだろう。
「あ、ごめん、なんでお前に深いことを言ったんだろう。」
「大丈夫」
「蓮斗試験いつ?」
「来月の17日」
「あと1ヶ月半くらいか」
「そうだな」
「碧海も同時期で受験だからお互い頑張れよ」
「おう」
「あのさ、恒星。」
「なんだよ」
「夜景が一面見える場所に行ってなにも考えないでずっと眺めて、その後冷たい水を飲むんだよ。それが俺のリラックス方法」
「ふっ、ありがとな、俺は人の邪魔をするほど悪いタチじゃないからもう帰る、じゃーな」
自分の気持ちに素直になることも難しい。
それを貫いて相手に伝えることも理解されることも難しい。
咲良を好きになっていろんなことを学んだよ。
「分かりました、ありがとうございます」
推薦入試の小論文の添削を職員室で羽柴から受けていた。
アドバイスも的確で参考になる資料をくれるから結構ありがたい。
でも俺が行こうとしている建築学科の倍率が毎年高いから油断はできない。
だから同時に一般の勉強もする。
部活引退してから毎日補習3時間という部活よりもしんどいメニューだ。
俺は今日は推薦入試の対策を今までしていたため補習はしていない。だから今から自分で一般の勉強をするために教室で勉強する。
教室には誰にもいないから集中できる。
「お前、勉強しなくていいだろ」
「びっくりした!」
「よっぽど集中してたんだな」
「驚かせんなよ〜」
いきなり俺の頭上から聞こえた恒星の声。本当に集中してたからびっくりして咲良から貰ったペンを落としてしまった。
部活引退して本格的に頑張らなきゃいけなくなってから毎日使ってる。
このペンのおかげで咲良からパワーを貰っているし咲良が近くにいると思える。
本当に俺は木崎咲良に溺れている。
卒業したら俺が咲良を溺れさせる番だな。
「ニヤニヤしてる蓮斗キモい。」
いつの間にか咲良のことを考えてたら頬が緩んでたみたいだ。
いつもは咲良のこと考えても表情には出ないのに。
「ニヤニヤしてねえよ、俺は勉強しているんだぞ、邪魔すんなよー」
一応比定する。
「頭いいんだからどこ受けても合格するよ」
「油断禁物だよ合格しなきゃいけねえんだから」
「まじ木崎咲良だなお前」
「言葉がおかしいけど」
「全部咲良のために頑張ってるな〜って」
「それは否定しないけど、俺は高校生を思いっきり楽しんだよ、今はしんどいけど」
「それはそうだな、俺も楽しかったな〜、いっつも部活終わり馬鹿騒ぎしてたしな」
「そうだな、人それぞれ楽しみの感じ方は違うからな、俺は楽しかった」
「青春振り返るのはまた後でで、お前も勉強もしろよな〜」
「うるせーな」
「教室誰もいないからいいだろ」
「まぁな、実は俺、留学するんだよ」
「は?」
次は机にぽろっと落ちてしまったペン。
「言ってなかったっけ?」
「言ってない」
「俺の家な…逆らえないんだよもう」
初めて見る恒星の悲しい目。なにかを諦めてる目。そしてなにかを覚悟している目をしている。
「俺のお父さんさ、相馬 新次郎って言うんだよ」
「……まさか」
「そう、政治家なんだうちのお父さん、それで俺にも政治家なれって3歳の時からうるさく言われてゲームも禁止だしずっと勉強漬けの日々でアメリカの大学で政治を学ぶんだ」
いつも明るくてムードメーカーな恒星。
誰にも言えずにずっと悩み続けてきたんだ。
政治の道に進むのも本意ではないだろう。
楽しくゲームしたりバスケしたりする姿はいつもの恒星なんだろう。
家で真面目に勉強して親の言うことを逆らえずに忠実に聞いて行動するー
それが裏の恒星なんだろう。
本当の恒星は学校にいる時しか表れないのだろう。
「初めてだよ人に言うの」
「お前なりに苦しんできたんだな、今まで俺らにはなにも見せず」
「まぁな、ついでに言うと俺の彼女ってのもお父さんが無理矢理お見合いさせて付き合うことになった政治家の娘」
「まじかよ…」
無理矢理お見合いさせて付き合うとかドラマでの話だと思ったらこんな近くにいた。
本人の気持ちを無視して好きじゃない人と付き合ってなにが楽しいんだろう。
今思い出せば恒星から彼女の話を聞いたことがない。爽汰はいつも彼女とデートだとか一緒に昼食を食べたりするのに恒星はデートするとか聞いたことがない。
今まで恒星の思いのままにできたことは1つでもあるのか。
「たぶん政略結婚だろうな俺」
さらっとそんな嫌なこと言う。でも事実だろう。
「俺も高3だし自分の行きたい道見つけるべきなのにもう洗脳されたんかな、政治以外に浮かばないんだよ、だから俺政治学ぶことはいい。でも俺は政治家になりたくないし、政略結婚もごめんだ。」
誰でもそう思うだろう。
「あ、ごめん、なんでお前に深いことを言ったんだろう。」
「大丈夫」
「蓮斗試験いつ?」
「来月の17日」
「あと1ヶ月半くらいか」
「そうだな」
「碧海も同時期で受験だからお互い頑張れよ」
「おう」
「あのさ、恒星。」
「なんだよ」
「夜景が一面見える場所に行ってなにも考えないでずっと眺めて、その後冷たい水を飲むんだよ。それが俺のリラックス方法」
「ふっ、ありがとな、俺は人の邪魔をするほど悪いタチじゃないからもう帰る、じゃーな」
自分の気持ちに素直になることも難しい。
それを貫いて相手に伝えることも理解されることも難しい。
咲良を好きになっていろんなことを学んだよ。