イケナイ王子様
「それよりも、遅かったですね」


「えっ……ま、まぁね。


男子トイレが、意外に混んでたからね」


あれ?


今度は、洋季さんが焦っているように見えた。


うーん……これも気のせいでいいんだよね?


スルーしておくべきだよね?


そう思い、心の中に抱いている疑問は、聞かないでおいた。


洋季さんは聞かれたくないだろうと思ったから。


「そうなんですか」


「そ、そうなんだよ……ははっ」


洋季さん、笑い方がぎこちないな。


私に、なにか隠してることでもあるのだろうか。


そう思うと心が落ち着かなくなる。


でも、我慢だ。


聞かれたくないだろうから、聞きたくなるのを我慢しないと。


洋季さんを笑顔に戻すため、話題を変えることにする。
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