イケナイ王子様
私だって嫌だよ。


自分の彼氏が狙われてるんだもん。


自分の彼氏が他の女性に想われてることを考えるだけで、胸騒ぎがする。


「ミドリ、あきらめなよ。


翔くんには彼女がいるんだって」


他の女性のひとりが、なぐさめるようにつぶやいた。


だが、ミドリという女性は、簡単にあきらめられないらしい。


「……やだよ。


私、そんなの信じないよ!


なにがなんでも、翔くんを振り向かせて、彼女になってやる!」


「ミドリ……」


他の女性ふたりが、複雑な表情を浮かべている。


きっと、ミドリという女性の恋を応援したいけれど、その恋の相手には、彼女がいると思っているのだろう。


複雑な表情を見せるのも無理はない。


私が、翔さんと付き合ってなかったら、ミドリという女性の恋を応援していたかもしれない。
< 116 / 623 >

この作品をシェア

pagetop