イケナイ王子様
「早く言えよ。


じゃないと俺、夕飯作んないよ」


えっ……⁉︎


そ、それは勘弁してください!


夕ご飯を作ってくれないのは困る。


このままなにも言わなければ、翔さんはずっと夕ご飯を作ってくれなさそうなので、迷いに迷ったあげく、こう答えた。


「え、えーっと……今日は中学時代の友達と一緒に、ショッピングに行ってました」


やはり、洋季さんの存在を言いたくなかったので、嘘をついてしまった。


翔さんに、嘘だとすぐにバレるのに……。


「友達と一緒にショッピング?」


「はい。


何日か前に約束しておいたので、行くことになったんです」


「ふーん……」


翔さんが、なぜか釈然としないとでも言うような表情を浮かべる。


だが、問い詰めることはしない。


とりあえず、納得したってことでいいのかな……?
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