イケナイ王子様
「まぁいいや。


とりあえず、夕飯の準備、手伝って。


俺、ひとりじゃ自信ないから」


「あっ、はい」


バッグの中から、パックに入ったひき肉を取りだし、私に指示する翔さん。


どうやら、私の答えに嘘はないと信じたようだ。


だったら、安心してもいいよね?


「翔さん、夕ご飯はなにを作るんですか?」


「今夜は、キーマカレーにしようと思ってるんだけど」


そう言って、私の顔を見つめる翔さん。


な、なに?


私の顔にゴミがついてるの?


「な、なんですか?」


「あんた、キーマカレーって好きだったっけ?」


な、なんだ、そんなことか。


ただ、キーマカレーが好きなのかを聞きたかっただけだったんだね。


「はい、好きですよ?」


「そっか……ならよかった」
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