イケナイ王子様
私が、心の中でそうつぶやいているとも知らず、やたらと怖い表情で、翔さんが口を開ける。


「……あのさ」


「はい……」


「あんた、俺に隠れて、なにかしてね?」


「……っ!」


ドキッ!


な、なんで、翔さんに隠れて、こそこそとなにかをしてるのがバレてるんだろう。


私、バレないように行動していたつもりだったのに。


それでも、翔さんにはバレバレなのかな。


「俺、あんたのこと疑いたくないけど、俺にバレたくないことでもしてんだろ?」


うっ……。


図星だ。


完全にバレてる……。


けれど、洋季さんの存在を知らせたら、翔さんから一方的に別れを告げられるかもしれない。


『へぇ。


あんた、俺が知らない間に、お見合いしてたんだ?


じゃあ、そのお見合い相手の男と幸せになりな。


じゃあな』
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