イケナイ王子様
「……あのさぁ」


「はい?」


「そんな泣いてる顔見せられたら、キスしたくなるんだけど。


どんだけ俺をあおれば、気が済むわけ?」


「へ……っ⁉︎」


キスしたくなる……⁉︎


あ、あおってなんか……。


「わ、私、あおってるつもりは……」


「愛海にその気はなくても、俺は愛海にメロメロになってんの。


意味わかる?」


メロメロ……⁉︎


その甘い言葉が、翔さんの口から出るとは思わなかった。


「め、メロメロって……」


「そのままの意味だよ」


そのままの意味……?


「どういうことですか?」


「はぁ……わかってねぇな……」


すみませんね、ものわかりが悪い人間で。


ふくれっ面になるのをなんとかおさえていると、翔さんが再び顔を近づけてきた。
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