イケナイ王子様
な、なになに⁉︎


翔さん、またキスするの……⁉︎


そう思い、ギュッと目をつぶるが、唇にはなにも襲ってこない。


その代わり、耳にかすかな吐息が漏れた。


「……愛海が好きってことだよ」


「ひゃ……っ」


み、耳に翔さんの声が……。


く、くすぐったい……。


「おっ、その反応は、もっとささやいてほしいってこと?」


な……っ!


「い、いいえ!


そんなこと、全然思ってません!」


本当は、もうちょっと吐息を感じたかったけれど。


「へぇ、そうなんだ?」


翔さん、ニヤニヤしてる。


これはどういう意味なのか……。


「い、いいから離れてくださいよ!


私、これからお風呂に入るので!」


翔さんの体を手で押して、お風呂場に向かおうとする。


しかし、翔さんはピクリとも動かない。
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