イケナイ王子様
☆☆☆
「ごめん、待った?」
「いえ、待ってませんよ」
それから数十分後。
私は、待ち合わせ場所に指定した、U高校近くの駅前で、誘った人物を出迎えた。
私が誘った人物というのは……。
「まさか、愛海ちゃんから、誘ってくるとは思わなかったよ」
そう、洋季さんだ。
洋季さんなら、平日でも誘えると思い、どこかに行かないかと誘った。
それに対して、洋季さんは【いいね!】と返事をしてくれた。
行き先は、今のところノープラン。
駅前を待ち合わせ場所に指定したのは、なんとなくだ。
べつに、特別な理由があるわけではない。
「でも、私から誘うのもありですよね?」
「まぁ、そうだね。
愛海ちゃんが相手なら、どこへでも行きたいな」
そ、そんな大袈裟なことを……。