イケナイ王子様
グゥ〜、と自分のお腹がなった。


嫌でも顔が熱くなるのを感じる。


だが幸い、洋季さんには気づかれずに済んだ。


気づかない洋季さんを見て、ほっと胸を撫でおろす。


「じゃあ、さっそく行こうか」


「はい」


駅前から歩き、洋季さんおすすめの、イタリアンレストランに向かう。


レストランに向かう途中、すれ違う女性たちから視線を集めた。


「ねぇ、あのふたり、超お似合いじゃない?」


「めっちゃお似合いじゃん!


男の子はすごくカッコいいし、女の子はすごく可愛いし!


まさに、美男美女のカップルだね!」


カップルじゃないよ。


そもそも私、彼氏いるから。


洋季さんじゃない人と付き合ってるから。


心の中でツッコミを入れた直後、洋季さんが立ち止まった。
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