イケナイ王子様
「しかし、なかなかよかったな。


あんたの無防備な表情、たまんないわ」


人の話、聞いてないし!


そういうところは相変わらずだなぁ。


それに、私をドキッとさせるような胸キュンワードをサラッと言っちゃうところも。


両想いになる前と全然変わらない。


って、懐かしんでる場合じゃない!


「私の話をちゃんと聞いてくださいよ!


自分にとって都合がいいことだけ、聞かないでくださいよ!」


そう言ったとき、笑っていた翔さんが突然ピタッと、笑うのをやめた。


かと思うと、ソファに座り直した私に顔を近づけてきた。


このドキドキは、何回経験しても慣れないなぁ……。


「な、なんですか……?」


声が震えちゃってる、私。


このあとのことを考えたくないからかな。
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