イケナイ王子様
なんですかって言っておきながら、このあとのことを考えたくないと思ってるなんて。


私、どういう考えの持ち主なんだろう。


自分で自分のことがわからなくなっちゃってるよ。


と、そのとき。


唇にやわらかい感触が触れた。


それはほんの数秒だったのに、まるで時が止まったみたいに、長く感じられる。


え……?


なにが起こったの……?


わけがわからなくなるが、私の唇にやわらかい感触を与えた人物はわかる。


だって……。


「……やっとで落ち着いた」


だって、私以外にここにいるのは、翔さんだけだから。


「へ……?」


「ごめんな、愛海の時間を邪魔して。


でも、べつにわざとじゃねぇよ。


少しでも長く、愛海と一緒にいたかったから、つい……」
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