イケナイ王子様
「え……」


めずらしい。


ものごとをストレートに言って、自分からはなかなか謝ろうとしない翔さんが、素直に謝るなんて。


それに、また胸キュンワードが……。


『少しでも長く、愛海と一緒にいたかったから』


そんなこと言われたら、ドキドキしちゃうよ。


「俺、じつはさ……大学の先輩女子に告白されたんだ。


でも、あんたがどうしても頭から離れないんだよ。


あんたに対する“好き”って気持ちが、いまだにあるから。


だから、その先輩には『付き合ってる彼女が大好きだから』って言って、断った」


やっぱり翔さんは、ミドリさんに告白されたんだ。


洋季さんと一緒に見たあの光景は、嘘じゃなかったんだ。


夢じゃないと思ういっぽうで、安心感も残っている。
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