イケナイ王子様
ひ、ひぇぇ……。


我妻家の次男と、藤堂家の息子、すごく仲悪い……。


お坊っちゃま同士だし、年齢も近いから、仲よくなるのかなと思ってたけど……。


もうちょっと仲よくしようよ〜……。


と思ったとき。


「へ……へくちょんっ」


急に鼻がムズムズしだして、小さいくしゃみが出てしまった。


私のくしゃみで、当然、ふたりは私の存在に気づいてしまったわけで。


翔さんが少し気まずそうな顔をしながら、こちらに目を向ける。


「わ、悪い……聞こえちゃったか?」


気まずそうな顔をされると、こっちまで気まずくなる。


翔さんに悪気はないけど。


「え、えぇ、まぁ……」


とりあえず、そう答えることにした。


「ほら、君が大きな声出すから、愛海ちゃんに聞こえちゃったじゃん」
< 194 / 623 >

この作品をシェア

pagetop