イケナイ王子様
「よかった。


じゃあ、今週末の夜8時半に、Mホテルに来てね。


ついでに、我妻の次男坊も連れてきてよ。


そのほうがにぎやかになるからさ」


怒りとも驚きとも言える表情をする翔さんとは反対に、心の底から嬉しそうな顔を見せる洋季さん。


その笑顔は、混じり気のない、純粋なものである。


洋季さんは悪い人じゃないよ。


私が予想してたとおりだ。


洋季さんは、誰かを騙すようなことを考える人じゃないもん。


洋季さんが誰かを騙してるわけがない。


「ごめんね、朝早くに来ちゃって。


今週末のパーティーで会おうね」


そう言った直後、洋季さんは立ちあがり、家をあとにした。


洋季さんが姿を消して、しばらくたったあと、翔さんの深いため息が聞こえた。
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