イケナイ王子様
うっわ、ドキドキした……。


胸に手を当てて、声がしたほうに視線を向ける。


そこには、少し目を細めて微笑んでいる翔さんが立っていた。


あぁ、朝からこの笑顔……たまりません。


翔さんの笑顔をひとりじめできるなんて、今日はツイてる!


「な、なにしにきたんですか?」


声がうわずった……。


ドキドキしたり緊張したりすると、自然と声がうわずっちゃうんだよね。


このクセ、どうにかしたい……。


「べつにー。


あんたがいないとこにいてもさみしいから、一緒にいたいなと思って」


「えっ……」


ドキッ。


朝からドキドキさせないでよ、翔さん。


せめて、お風呂場の掃除が終わったあとにドキドキさせてくださいよ。
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