イケナイ王子様
でも、そんなことは、ひとことも言ってなかったような。


翔さん、言いたいことはストレートに言うから、本当のことを言わないことはないと思うんだよね。


「そうか。


たしか君は、愛海ちゃんと同居してるっていう、我妻さんとこの息子さんかね?」


「えっ……?」


藤堂さんの言葉に、翔さんがさらに表情を険しくさせる。


逆に私は、額やこめかみから、大粒の汗が出てくるのを感じる。


ま、マズい。


翔さんに、洋季さんとお見合いしたってことを言ってないから、洋季さんと藤堂さんとの関係がバレそうになってる……。


その予感はバッチリ当たった。


「……どういうことだよ」


翔さんからの視線がチクチク刺さる。


鋭い目つきを想像してしまって、さらに冷や汗が流れる。
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